今日のスケジュールは下記の通り。
9:00〜 オリエンテーション
10:00〜 水俣病歴史考証館の見学
11:00〜 地元学の導入、漁村散策
12:00〜 食事
13:00〜 水俣の農村を歩く。質問の練習
◆オリエンテーション
まず最初に月曜日のリフレクションを行う。
月曜日は中田さんが来てくれて、事実質問の練習を行ってくれた日。
ふりかえりでは、研修員がそれぞれに気づきを語ってくれたが、
それぞれにとてもよく理解していた。
観察の重要性、事実を聞くこと、Mのコミュニケーション、
WHY質問の危険性、生活者の現実に迫る、ミクロからマクロを考える、
これは何から始める、などなどの重要なポイントがでてきた。
坂西から一点だけ加えたのは、質問をする前に確認するという
中田さんからのメッセージ。これを最後に確認して終了。
それからオリエンテーションと自己紹介。
水俣でのメインリソースパーソンである、遠藤さんの自己紹介。
外部者として水俣にやってきたこと。受け入れ先のNGO、相思社が
外部者の集団であること、を説明。
◆水俣病歴史考証館見学
ここはいつも通り。水俣病による地域の崩壊、チッソの製品、
近代化の裏側であること、もやい直しの説明などを行う。
研修員からも水俣病に関する質問がいくつかでてきた。
今回多かったのは症状や発症閾値に関すること。ちょっと意外でした。
◆地元学の導入と漁村
今回漁村へ行く時間がなかったので訪問。
地元学の導入を行う予定だったが、今朝のリフレクションが思ったよりよかったので割愛。
地元学における研修員の位置に一部行き違いがあり、混乱する。
◆農村での質問の練習
今日のハイライト。
薄原という農村に行き、お茶農家の方と地域を歩く。
ここでは「質問と観察の練習のときです。事実質問をしてみて下さい」ということでスタート。
しかし、始まってみると全く事実質問ができない。
1年間の生産量はどれぐらい?年間通じて収穫できるのか?山の木を切るのに許可がいるか?
コミュニティの人は学校や保健所にいけるか?昨年の収穫量は?薪は通常、暖房と料理か?
木を切っている、ということは環境を保護する活動はしていないのか?
お米をつくるメッソドは?、、、、
という感じでパーセプションクエスチョン、もしくは目に見えないことのオンパレード。
特に畑や田んぼを見て、誰のものか確認しない。一緒に歩いた方のものでなければ、
その人に聞いてもわからないかも知れないが、それを確認する質問はなかった。
また実物を見に行こうとすることもなく、空中戦が多かった。
加えてあまり「what is this」から始まる質問もなく、
ついに遠藤さんが怒り爆発、「まじめにやらないと研修にならない。これは何ですか、
という質問を軽視していないか、こんな質問から何かがわかるとは思っていないように見える」と。
確かに研修員の態度によくない部分はあったが、what is thisを軽視しているわけではないので、
遠藤さんがひとしきり怒った後、坂西から「そうではない。思い込みで怒らないで、聞いてみましょう」
と発言。それを受けてノトさんが「軽視している訳ではない。だが6人居て、答える人は1人。
だから難しいのでは、今後は一人が聞いたら、そのことについて聞くようにしたほうがいいかも」と発言してくれた。
それを受けて遠藤さんが「what is thisを軽視しているのは根拠がなかった。あやまる」と言ってくれた。
この辺りの柔軟性がさすが。個人的には事実質問で聞くことの難しさがわかればいいか、
と思っていたので、特に焦ることはなかったが、受け入れ先の相思社としては、
きちんと押さえたかったというイメージのギャップがあったようだ。
そして最後に家を訪問させてもらいお茶をいただいた。
ひとしきりお茶農家さんの開拓の歴史を聞いた後、今日のふりかえりの時間を持った。
まずアリさんが口火を切ってくれて、事実質問の難しさに気づいた、と言ってくれた。
他の人も教室では理解していたと思ったけど、実際には難しかった、頭ではわかっていたけど、
という実践の難しさについていくつかあがりました。
他にも、案内人の畑に行きたかったけど遠慮した、食べてみたかったけど遠慮した、
同時に何人も聞くから難しかった、what is thisの後は目的を聞いてしまう、などの意見もでた。
改善策としては、質問を組み立てないといけない、一人が聞いたらそのことを積み上げて聞いていかないと、聞きたいことを自由に聞いていってはいけない、というものがでてきました。
そしてヤダブさんが「今日はうまくいかなかったけど、初日だから心配していない」とコメントしてくれた。
坂西からも「確かに今日の状況、六人の参加者に一人のリソースパーソンという状況は聞くのに難しかった
と思う。3日目はグループに分けるよう予定している。事実質問は簡単に聞こえるが、やってみると難しい。僕は中田さんの元で一年以上修行しているが、まだよく怒られる。今日は多くの気づきがあった」とコメント。
途中はひやひやしましたが、結果的にはよかったです。信じて待つ、というのは大事ですね。
研修員はそれぞれに重要な気づきがあったようです。
◆関係者でふりかえり
最終的には良い方向に向かったものの、今日はいくつかの反省点がありました。
一つはリフレクションに惑わされたこと。それぐらい今朝のリフレクションは素晴らしかった。
それを聞いて、関係者は研修員は理解している、と判断してしまった。または期待が上がってしまった。
しかし、現場で実践できないことの落差に驚いてしまった。これがボタンの掛け違い。
中田さんが「言葉を信じるな、しかし人を信じろ」とよく言っているが、まんまと信じてしまった。
それで研修員がパーセプション質問をした時ににオーバーなリアクションをとってしまい、
日本人が全体の流れを壊したところもあり、反省。
しかし、最終的にはこれまた中田さんが言うように「すべてのことに意味がある」。
遠藤のさんの感情の発露も、ある種、受け入れ側が本気だということを感じてくれたようで、
その後の全体がピリッとするなどの効果もあり、研修員もそこからも気づきがあったようです。