2010年11月17日

事実質問崩壊?

水俣フィールドワーク初日。

今日のスケジュールは下記の通り。

 9:00〜 オリエンテーション
10:00〜 水俣病歴史考証館の見学
11:00〜 地元学の導入、漁村散策
12:00〜 食事
13:00〜 水俣の農村を歩く。質問の練習


◆オリエンテーション

まず最初に月曜日のリフレクションを行う。
月曜日は中田さんが来てくれて、事実質問の練習を行ってくれた日。
ふりかえりでは、研修員がそれぞれに気づきを語ってくれたが、
それぞれにとてもよく理解していた。

観察の重要性、事実を聞くこと、Mのコミュニケーション、
WHY質問の危険性、生活者の現実に迫る、ミクロからマクロを考える、
これは何から始める、などなどの重要なポイントがでてきた。

坂西から一点だけ加えたのは、質問をする前に確認するという
中田さんからのメッセージ。これを最後に確認して終了。

それからオリエンテーションと自己紹介。
水俣でのメインリソースパーソンである、遠藤さんの自己紹介。
外部者として水俣にやってきたこと。受け入れ先のNGO、相思社が
外部者の集団であること、を説明。


◆水俣病歴史考証館見学

ここはいつも通り。水俣病による地域の崩壊、チッソの製品、
近代化の裏側であること、もやい直しの説明などを行う。
研修員からも水俣病に関する質問がいくつかでてきた。
今回多かったのは症状や発症閾値に関すること。ちょっと意外でした。

P1080728.JPGP1080734.JPG


◆地元学の導入と漁村

今回漁村へ行く時間がなかったので訪問。
地元学の導入を行う予定だったが、今朝のリフレクションが思ったよりよかったので割愛。
地元学における研修員の位置に一部行き違いがあり、混乱する。

P1080743.JPGP1080744.JPG


P1080740.JPGP1080748.JPG


◆農村での質問の練習

今日のハイライト。
薄原という農村に行き、お茶農家の方と地域を歩く。

P1080753.JPG

ここでは「質問と観察の練習のときです。事実質問をしてみて下さい」ということでスタート。
しかし、始まってみると全く事実質問ができない。

P1080756.JPG

1年間の生産量はどれぐらい?年間通じて収穫できるのか?山の木を切るのに許可がいるか?
コミュニティの人は学校や保健所にいけるか?昨年の収穫量は?薪は通常、暖房と料理か?
木を切っている、ということは環境を保護する活動はしていないのか?
お米をつくるメッソドは?、、、、

という感じでパーセプションクエスチョン、もしくは目に見えないことのオンパレード。

P1080773.JPG

特に畑や田んぼを見て、誰のものか確認しない。一緒に歩いた方のものでなければ、
その人に聞いてもわからないかも知れないが、それを確認する質問はなかった。
また実物を見に行こうとすることもなく、空中戦が多かった。

P1080769.JPG

加えてあまり「what is this」から始まる質問もなく、
ついに遠藤さんが怒り爆発、「まじめにやらないと研修にならない。これは何ですか、
という質問を軽視していないか、こんな質問から何かがわかるとは思っていないように見える」と。

確かに研修員の態度によくない部分はあったが、what is thisを軽視しているわけではないので、
遠藤さんがひとしきり怒った後、坂西から「そうではない。思い込みで怒らないで、聞いてみましょう」
と発言。それを受けてノトさんが「軽視している訳ではない。だが6人居て、答える人は1人。
だから難しいのでは、今後は一人が聞いたら、そのことについて聞くようにしたほうがいいかも」と発言してくれた。

P1080759.JPG

それを受けて遠藤さんが「what is thisを軽視しているのは根拠がなかった。あやまる」と言ってくれた。
この辺りの柔軟性がさすが。個人的には事実質問で聞くことの難しさがわかればいいか、
と思っていたので、特に焦ることはなかったが、受け入れ先の相思社としては、
きちんと押さえたかったというイメージのギャップがあったようだ。

P1080760.JPG

そして最後に家を訪問させてもらいお茶をいただいた。
ひとしきりお茶農家さんの開拓の歴史を聞いた後、今日のふりかえりの時間を持った。

まずアリさんが口火を切ってくれて、事実質問の難しさに気づいた、と言ってくれた。
他の人も教室では理解していたと思ったけど、実際には難しかった、頭ではわかっていたけど、
という実践の難しさについていくつかあがりました。

他にも、案内人の畑に行きたかったけど遠慮した、食べてみたかったけど遠慮した、
同時に何人も聞くから難しかった、what is thisの後は目的を聞いてしまう、などの意見もでた。

P1080754.JPG

改善策としては、質問を組み立てないといけない、一人が聞いたらそのことを積み上げて聞いていかないと、聞きたいことを自由に聞いていってはいけない、というものがでてきました。

そしてヤダブさんが「今日はうまくいかなかったけど、初日だから心配していない」とコメントしてくれた。

坂西からも「確かに今日の状況、六人の参加者に一人のリソースパーソンという状況は聞くのに難しかった
と思う。3日目はグループに分けるよう予定している。事実質問は簡単に聞こえるが、やってみると難しい。僕は中田さんの元で一年以上修行しているが、まだよく怒られる。今日は多くの気づきがあった」とコメント。

途中はひやひやしましたが、結果的にはよかったです。信じて待つ、というのは大事ですね。
研修員はそれぞれに重要な気づきがあったようです。


◆関係者でふりかえり

最終的には良い方向に向かったものの、今日はいくつかの反省点がありました。
一つはリフレクションに惑わされたこと。それぐらい今朝のリフレクションは素晴らしかった。
それを聞いて、関係者は研修員は理解している、と判断してしまった。または期待が上がってしまった。
しかし、現場で実践できないことの落差に驚いてしまった。これがボタンの掛け違い。

中田さんが「言葉を信じるな、しかし人を信じろ」とよく言っているが、まんまと信じてしまった。
それで研修員がパーセプション質問をした時ににオーバーなリアクションをとってしまい、
日本人が全体の流れを壊したところもあり、反省。

しかし、最終的にはこれまた中田さんが言うように「すべてのことに意味がある」。
遠藤のさんの感情の発露も、ある種、受け入れ側が本気だということを感じてくれたようで、
その後の全体がピリッとするなどの効果もあり、研修員もそこからも気づきがあったようです。

2010年11月16日

水俣に到着!!

無事に関空に集合し、伊丹空港から一路水俣へ。
道中写真を撮ったのですが、内臓メモリに保存してしまい、アウトプットできず、、、
(後日UPしますね)

まず伊丹空港。鹿児島行きはなんとプロペラ機。
そして歩いて飛行機の乗り込む。
アジアではよくありますが、国内では初!
そしてプロペラがうるさい〜。
おかげであんまり打ち合わせができませんでした。

ともかく飛行機は問題なく、鹿児島へ到着。
そこからはバスで水俣へ移動。
道中、しっかり観察するもの、眠る人それぞれ。

今日は一つだけ見学先へ。
「陣の坂」という水俣が一望できるスポットへ。

高いところから、水俣駅、チッソ工場、天草、水俣川、埋立地、水俣湾などなどを見学。
ごく簡単にロケーションやチッソが水俣に来た経緯を説明しました。
みな、それぞれ自由に仮説を述べてくるのが面白かったです。
例えば「漁業がメインのようだね」とか。実際はぜんぜん違うのですが、、、

受けた質問は、「チッソはいつから?」「チッソは何をつくる?」
「今も海は汚れているか?」「どこからどこまでがチッソ?」
「チッソの製品は?」「チッソの従業員の数は?」「水俣の人口は?」
「補償は国から、チッソから?」「チッソはまだ元気なのか?」
「患者はどこに?」「天草も人がいるのか?」などなど。

坂西から説明したのは、チッソの経緯。
「チッソは水俣市が強力に誘致して来た。決め手はきれいで豊富な水。
 工業用水が豊富で、かつ水路での移動が簡単だった。100年前は流通の中心は海運。
 つまり利便性がよかった。」

もう一つは地形。
「水俣湾の向こうに天草がある。湖のようだとよく言う。
 つまり水銀が流れていかずに溜まる。」

去年は寒くてあんまり居れませんでしたが、今年はけっこう平気でした。あんまり寒くない。

夜は相思社の遠藤さんと打ち合わせ。
さて、いよいよ明日から本番。楽しみです。

2010年11月15日

中田さんによる事実質問のインプットと練習

今日は再度、中田さんにお出ましいただきました。
長畑さんとのバトンタッチでとても難しい役回りをお願いしています。

まずはリフレクションから。
issueとproblemの違いについて、それぞれfindingを述べる。

P1080671.JPG

「水のボトルについて、「what is this?」と聞くシーン」


P1080670.JPG

「coping strategyと暗黙知、形式知についてのインプット」


このリフレクションででてきたポイントから、
上記のcoping strategyと暗黙知、形式知についてのインプットを行う。
まさに変幻自在。実は当初に聞いていた予定とは違うが、
研修員からでてきたものにあわせて「ポケットの中からツールをだす」。


P1080675.JPG

「前回のインドでの開発現場の絵から話を始める」


またリフレクションで週末の話から「着物」がでてきて、
そこから日本の近代化の話になった。
「実際の経験からきている話なので空中戦にならない。
 もし空中戦になりかけていても、実際の経験に引き戻すことが容易」
と事実から始めることの重要性を教えてくれました。

「proper entry pointは注意深く観察して見つけなければならない」とも。


そして前回の最後に使ったインドでの開発ワーカーの絵から。

「この絵ではコミュニティの人が、外部者にそこをどいてくれ、と言っているが、
 実際のシチュエーションではこうは言わない。」と切り出し、
Mのコミュニケーションについて話を進めてくれました。

P1080680.JPG

「Mのコミュニケーションの罠について語る中田さん」


Mのコミュニケーションについては中田さんの本を読んでもらうこととして、
中田さんは「このようなdevelopment theaterを避けるにはどうしたらいい?」と問いかける。

研修員からいくつか反応がでてくる。
「そう。what is thisではなく、みんなが言ったようにwhat do you see from your starting point?
 と聞くのも一つですね」

P1080681.JPGP1080686.JPG

「和田さんのインドでの苗の話。事実質問の重要性について学びます」


和田さんのこの話についても、ぜひ新著でじっくりと読んでください。
まだご購入いただいていない方はご連絡お待ちしています〜


さて、午後のセッション。
テーマは「How to find the entry point」。

水俣でのフィールドワークを実りあるものにしたい、という
坂西のお願いをきいてくれ、事実質問についての練習の機会を持ってくれました。


まずコミュニティの人とイコールな関係を作るにはどうするか。
「フレンドリーだけでは足りない、和田さんはフレンドリーでもない。
 その一つはshow interest。ここから始めることができる。
 和田さんは興味のなさそうな老人と話すことで全体の興味を惹く。
 これは高等テクニックだけどね」


そして再度事実質問の確認。
5W1Hから。「特に使いやすいのはいつとどこ。すべての事実にそれはある」。
「WHYは特にネガティブな話の場合はいいわけを引き出してしまう。」

ここではバングラでの薬屋について質問したときの例を紹介してくれました。
「限界のあるわずかな例だけど、事実。ミクロリアリティからマクロへ」。

しつこいようですが、この意味を深く知りたい人は新著をお読みください。
新著の一つのハイライトでもあります。新たな地平を見ることができますよ〜

パメラさんは上記について「私達は事実を知りたい。だから直接的に聞く。
でもステップバイステップで聞くことが重要なんですね」と気付きをシェアしてくれました。


P1080687.JPG

「エントリーポイントになりうるモノを挙げていきました」


で、練習。what is thisのthisをできるだけ考える。


P1080690.JPG

「鉈について聞いていくワークをしました」


中田さんからのメッセージ。
「坂西さんが水俣でレクチャーをするだろう。しかし、それを信じてはいけない。
 現地の人に聞くときは、「〜と聞きましたが」と一度確認してから聞くこと。
 二次情報には気をつけないといけない。相手はよくわからず一般的な答えを考えるかも知れない。
 try to observe, try to simple question。みなさんのfindingを楽しみにしています」

と締めてくれました。ここまで仕込んでいただいたので、水俣でのFWとても楽しみです。
折に触れて中田さんのメッセージを思い出してもらいながら、フォーカスしていきたいです。

また帰りの車中。国内研修生の方が「水俣で質問するときの目的は?」と聞かれて、
僕は「興味のあることを聞くだけ」と答えたのですが、中田さんが「目的なんかないんだよ。
聞いていくうちにでてくるんだ」と言ってくれました。

実はこの答えは僕も何度か聞いて、答えてもらったことがあります。
実はその時は「??」でした。どういう意味なんだろう、と。目的がないなんてあるのか、と。
しかし、今日はものすごく落ちました。確かにそうだ。
聞いていくことで、リアリティに触れ、そこで道が見える。そうでなければ目的は生まれない。
いや、方向性が見えるわけがない。

まだクリアーに道が見えたこともないですが、その確信だけは持てるようになりました。
これがロールモデルがある、ということの利点なんですね。

ともあれ水俣でのバーチャルではありますが、研修員の実践報告をお楽しみに♪



◆フィリピンのノトさん誕生日♪


明日はフィリピンのノトさんの誕生日。
明日は移動日なので、今日お祝いをしました!

P1080692.JPGP1080694.JPG

「パメラさんからみんなで書いた色紙をプレゼント」


P1080696.JPG

「ささやかなパーティ」


ノトさん、若く見えますが二人のお子さんがいるお父さん。
ちなみにフィリピンでは、誕生日の人がみんなを招いてお祝いしないといけないそう。
ノトさんは昨年は50人ほど呼んでスナックとワインを振舞ったそう。
みんなから「今年は日本にいてラッキーだったね」と。散財しなくて。

P1080695.JPG

「パキスタンのアリさんと。ノトさん、人気者です」


P1080699.JPG

「パーティ中も続くレクチャー?事実質問が楽しく学べます。パーティスタイルで学びも盛り上がりました〜」

2010年11月13日

藤原君、帰ってくる

◆中田塾8回目?

今日は藤原君がインド、バンガロールから帰ってくるということで集合。
中田さん、有田さん、松田さん、坂西。ちょっと遅れて徳永さんの計5名。

主には藤原君のインド話を聞く。

藤原君はインドだけど日本的な社会で生活しているから、
特に話すことはないです。ファシリテーションを使う場もないし、と謙遜気味。

そこでみんなで色々と質問していくことに。

あるときまで積極的に質問をしていたと思ったら、
中田さんが急に黙り込んだので、何を見ているんだろう、
と思ったら「藤原君は成長したなぁ。受け答えが的確だ」と言及。

いわれてみれば確かにわからないことは曖昧に答えず、
意図のよくわからない質問にもできるだけ相手の意図に沿った答えを返している。

中田さんが「ファシリテーションを使う場面がないと言っているけど、
充分使えている。その成果がでてるよ」と太鼓判。

バンガロール話も楽しかったですが、藤原君の成長を目の当たりにできる良い時間でした。
中田さんの方法論で基礎を学べば、自律的に成長が可能なんですね〜
posted by taku at 00:00| Comment(0) | 中田塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

issueとproblemの違い

◆issueとproblemの違い

今日はインドネシアで和田さんが
村に入る前に「ここには3種類のメイズがある」と
仮説を組み立てた話からスタート。

パートナシップビルディング→観察→事実→仮説→検証→課題の仮説

P1080646.JPG


その後に長畑さんの体重の話から、
issueとproblemの違いを説明。
問題は現実と理想の距離、ギャップ。
その場合、現実をあげるか、あきらめるか。
課題は解決可能なもの、ととりあえず定義し、
ワークに入る。

2人でペアを組んでissueとproblemについて質問しあう。
僕のペアはグアテマラのパメラさん。
ラベガ市のメインリバーの汚染について。
川沿いに住宅地と工場地帯があり、両方からの排水やごみの投棄で
川が汚染されているそう。彼女の団体は長靴やグローブを提供して、
川の浄化活動を行っている。一方、政府は巨額のお金を投じて、
コミュニティ毎移住させ、川をきれいにするプロジェクトを進めている。

話を聞いていて、住んでいる人の困難が見えなかったので、
「住宅地の人は川の水を使うの?」と聞いてみた。
すると「特に使わない。子どもが遊んだりするぐらいかな」ということだってので、
さらに「他にこの川の水を使う人はいるの?」と質問。
答えは「下流に農業地帯があってその人たちは農業用水に使っている」ということだった。
困っている人は下流の農民だった。
一方、住宅地の人が汚染で困っていることとしては、
上記の政府による移住プロジェクト。川がきれいなればそこに住み続けることができるよう。
住民の多くは移住を望まず、そのままそこで住みたいと希望しているということだった。

P1080648.JPG

それぞれ質問を終え、お互いのパートナーから聞いた話を全体でシェア。
issueとproblemということで面白い例がいくつかでてきた。
例えばファイサルさんのケース。希少動物の一種で野生の鹿がいたそうだ。
それを外部の環境保護団体が保護しようとしていたらしい。
つまり外部者にとってはissueでもコミュニティの人にとってはissueではない。
しかし、最近ではエコツーリズムを行うようになり、
その資源として野生の鹿が重要なことがあがってきた。
この段階になりようやくコミュニティの人にとってissueとなったわけだ。

このような例をいくつかシェアし、issueとproblemの違い。
またneedsとissueの違いについて理解を深めていった。
その助けとして、長畑さんから話を振られ、
カマルさんが本当の課題だったら何かのアクションを起こしているはず、
という原理に基づき、村人に気付きを与えたという話を紹介。

午後からは、上記のパメラさんの話を使ってワークをすることになった。
2つのグループに分けて、下記を30以上あげる。

What are the good points/benefit
1.if the river become clean

2.if the community stay at their original place
P1080653.JPG

どちらのグループも苦戦したが、なんとか30以上あげる。
それをコミュニティ、地域、国、国際の4つのレベルに分けて、
カテゴライズしていく。
課題はある地域のものだけではなく、国際的にもつながる可能性があり、
あなたの課題が私の課題でもあるかも知れない、という話。


長畑さんのセッション終了後、水俣病のビデオを視聴。
研修員は日本人が持っているような水俣のイメージを持っていいないので、
古典的なものを一本見てもらう。

またフィールドワーク中は地元学が中心となるので、
水俣病についてはそれほど学ぶ時間がないこともあり、
できる準備は大阪でしておく。

視聴後の質問としては「今の状況は」「今も汚染が続いているのか」
「チッソが作っているものは何か」などなどでした。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。